(1)乗用電動車の 6 V バッテリーが NG の場合、アルカリ乾電池または Ni - MH 充電式電池に換装する。



@アルカリ電池の場合 4 本、Ni - MH 充電電池の場合 5 本にスナップ SW で切り替える。
アルカリがへたってきたら、1 本追加し 5 本にすることもできるが、新旧混在なのであまりよくない。

Aファストン端子の幅が一定ではないので、2 - 4 丸型圧着端子をつけておき、ペンチで幅を合わせ、ヤスリで角をおとして差し込む。

B電線は、2 〜 3 A 流れるので、0.5 sq 以上とし、ゴム板ではさみ固定しておく。

C端子差込部は、絶縁チューブをはめるかテープで巻いておく。

D電池交換をしやすくするため、固定はせず、ほうりこんでおくだけ。



(2)鉛電池とアルカリ電池 / Ni - MH 電池との比較

@鉛電池 : 秋月通販 1000 円(価格は変動)+送料・代引 800 円=1800 円

Aアルカリ / Ni - MH 式改造費 : 電池ホルダ 4 本 + 1 本 + 4 本 / 5 本切換 SW + 端子 = 250 円

Bアルカリ電池 : 100 均 4 本 105 円

CNi - MH 電池 : 2000 mAH エボルタ充電セット ( 4 本付 ) 2700 円(価格は変動)+エボルタ 1 本 270 円 = 2970円
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☆ 費用合計を見ると鉛電池式 1800 円、アルカリ式 355 円、Ni - MH 式 3220 円

☆ 2 A 消費とすると鉛 2 時間、アルカリ / Ni - MH で約 1 時間遊べる。

☆ 総合比較

鉛式は、充電時間管理が必要、一般入手困難(バイク用だと 約 3000 円)、廃棄に困る。

アルカリ式は、安いが連続 1 時間で 105 円が使い捨てになるので気がひける。

Ni - MH 式は、初期投資が高いが、他のおもちゃなどにも転用でき、長い目で経済的。

電池切れでの病院持ち込みを少なくする、エコの意味で、Ni - MH 式をお奨めする。



(3)鉛蓄電池について

定格表示の意味

@ 6 V : 公称定格電圧
満充電したときの電圧は、電気化学的に 2.28 V / セルと決まっている。
6 V 電池の場合、3 セル直列なので 6.84 V となる。
充電後に一時的にこの電圧より高いことがあるが、時間がたてばこれ以下となる。

A4.5 AH :定格容量
蓄えられる電気量を 電流 ( A ) × 時間 ( Hour ) で表わす。
1 A を 4.5 時間流せる電気量と解釈していい。

B20 HR ( Hour Rate ) : 20 時間率で試験した AH 表示であることを示す。
4.5 ÷ 20 = 0.225 となり、0.225 A を 20 時間流すと JIS 試験の終止電圧になる。
試験終止電圧は、1.75 V / セルなので 5.25 V となる。
放電終止電圧( 使用下限 )は、1.30 V / セル 、3 セルでは 3.9 V ぐらいとなっている。

12 V の自動車やバイク用では 10 HR になっていたりするので、厳密には各 JIS を見なければならない。

CCycle use : 充電 - 放電を繰り返す普通の使い方のときの充電電圧を示す。
少し高い電圧で充電するサイクル充電では、7.25 〜 7.45 V となっている。
充電時間が記されていないが、JIS C 8702-1 : 2009 では 20 時間率電流 の 2 〜 4 倍で、定格容量の 110 % 〜150 % まで充電せよとなっている。
この例では、仮に 2 倍で 110 % とすると
充電時間 =( 4.5 × 1.1 )÷( 0.225 × 2 )= 4.95 ÷ 0.45 = 11 時間となる。
定電圧保持、時間制限、電流制限の制御がいる。

Initial Current : 一番最初の初期充電時の電流は、1.6 A 以下にすること。
NONSPILLABLE : ガスの安全弁はあるようだが、「 密閉型 」 で希硫酸の漏れなどがない構造で多くは、横置きも可

DStandby use : 停電時に備えるためや保存用に常時充電するときの充電電圧を示す。
この常時つなぎっぱなしの充電をトリクル充電と言い、6.80 〜 6.90 V の定電圧に接続するのみで 電流や時間のコントロールが不要。


充電器について
@おもちゃに付属している充電器は、トランス+全波整流+コンデンサ(有無)だけの簡易アダプタが多い。
無負荷では、DC 10 V など高い電圧がでており、所定の電流が流れた時に DC 7 V 付近になるもので、8 時間ぐらいを守らないと過充電になり電池を痛めてしまう。


実効値 100 V : 最大値 100 √2 = 141 V
実効値 7.2 V : 最大値 7.2 √2 = 10.2 V
無負荷時出力 DC 10.2 V、負荷時は、コンデンサで埋め切れず、実効値 7.2 V 近傍に低下する。

最初に純正アダプタかどうか確認すること。
家にあった別のアダプタとか、プラグをつけかえたなどいろいろある。

アダプタを紛失した場合で、7.2 V 電流 2 A など大きいものを使うと、(3)- C 項の( 0.225 × 4 )= 0.9 A をこえるため、発泡、発熱など過充電になり電池を痛めてしまうし、破裂の危険もある。
時間を短くしてもダメで電流と時間の両方を満足させねばならないのでやっかいである。
ゴツイ可変抵抗をいれて電流をみながら充電など、一般ユーザでは不可能である。
このような場合、このアダプタを用いて、Fのトリクル充電式にするといい。
ただし低損失 3 端子レギュレタでないと 6.84 V が出せないかも。

A充電器の自作
2 A クラスの 9 V 定電圧電源と可変 3 端子レギュレタで 6.84 V を作れば充電できる。
常時つなぎっぱなしの トリクル充電にすると、急速充電はできないが、電池に優しく、電流や充電時間オーバーを気にしなくていいので簡単で安全である。
最低 24 時間、長くても 2 〜 3 日連続通電すればいいでしょう。

3 端子レギュレタは、2 次側の電圧が高いと破壊されるので、ダイオードで逆流防止 b (*) がいる。

当初、 a につけたが、ダイオードドロップ分( 1.2 V 〜 1.6 V ぐらい)を上乗せしないといけないので、b に位置にした。


(*) Ni - CD や Ni - MH 電池の充電器で、電池の電圧をチエックして、0 V に近い電池は充電できないと判定しているものがある。
このため、9 V の電池パックなどに 6 V レギュレタを直結して、2 V ぐらいになるまでちょっと充電してやると充電器で充電できるようになる。
このとき、ウッカリ、9 V ぐらいに上昇した電池に、ダイオードなしで、6 V レギュレタをつなぐと確実に破壊される。



(4)鉛蓄電池の回復

@鉛電池を使い切ったまま、充電しないで放置するとサルフェーションという硫酸鉛が白く結晶化する現象のため導通しなくなる。
充電しても動かないというのはこれが予想される。
通常の電圧では、数 mA ぐらいしか流れないので充電できず、廃棄することになる。

Aダメもとで、サイクル充電初期定格の 300 mA ぐらいを無理やり流すと回復する場合がある。

☆ある回復例
スライダック+全波整流+コンデンサの仮電源で、 DC 80 V ぐらいから電流が流れ始め、10 分 ぐらいで 200 mA を超えた。
200 mA 以下になるようスライダック電圧を徐々に落としていくが、どんどん上昇するので、よそ見できない。
約 1 時間で 25 V まで落ちたので、付属電源による充電に切り替えた。
DC 8.5 V で 110 mA 流れている。

これで回復したことがあった。

しかし、高い電圧であり、ガスの発生による破裂なども考えられる危険なものであり、十分な物理的防護と監視がいる。

Bサルフェーションに打撃を与えてはがすために、パルスで充電するチャージャーがある。
これが有効なら、上記A項の回復充電では全波整流だけで、AC 100 V 耐圧のコンデンサは不要かも?



(5)単 3 では苦しい例
@普通のものの倍ぐらいのもので、電流が大きく、単 3 では電圧が降下して電池本体が熱くなり、無理であった。

Aついていたのは 6 V 4.5 AH の鉛蓄電池であったので 4 AH ( 800 円 )のものと交換した。

B単 2 アルカリにすればいけると思われる。
2 個 140 円で 3 回使い捨てで鉛蓄電池 1 個分の費用となる。

できるなら余裕をみて単 1 アルカリを使用したほうがいい。
2 個 180 円 、単 1 電池ケースは 2 本用で @ 100 なので単 3 用とあまり変わらない。

C鉛蓄電池は、じきに飽きて充電せずに放置するとダメになるから、アルカリ式を薦めたいが使い捨てが悩みどころ。
よく説明してあげる必要がある。

DNi - MH の単 2( 4 AH @ 800 )、単 1( 10 AH @ 1250 )はあるが、高価なのと充電器が一般にはないので、製作しなければならず、テクに強いおとうさん(おじいちゃんも可)の理解と協力がないと無理。



(6)乾電池の放電容量

鉛蓄電池や Ni - MH 充電池には、はっきりと ○○○ mAH などと表記されており、電流×時間が一定なので、電流に応じた使用時間が概略計算できる。

しかし、マンガンやアルカリ電池は、電流×時間が一定ではないのでこの表記ができない。

JIS C-8515 では終止電圧になるまでの時間を規定しているが、品質試験用の規定であり、あまり実用的ではない。

単 1 アルカリ電池の JIS 規定抜粋
電流欄は Ω から換算、mAH 欄は比較用に試算したもので規定にはない。
負荷 (Ω) 1日放電時間 終止電圧(V) 終止到達時間 適用 電流 (mA) mAH
10.0 4 H 0.9 72 H ラジオ 150 10800
2.2 1 H 0.8 13 H 玩具 682 8860
1.5 別規定 0.9 6.75 H 携帯電灯 1000 6750

上表の玩具では、一見、13 H 使えるように思うが、0.8 V では動作しないものが多いので 13 H は無理、実力としては半分程度だろう。

玩具適用には、同サイズの Ni - MH の mAH の半分程度とみておくことにする。
つまり、アルカリの単 1 で 5 AH、単 2 で 2 AH、単 3 で 1 AH 、単 4 で 0.5 AH
マンガン電池だとさらに半分かな。

参考 : Panasonic アルカリ・マンガン電池の定電流連続放電データ



(7)充電時の保護例
充電中は前後進 SW が効かないようにリレーがつけてある。
充電ジャックに金属片挿入の場合のショート防止にもなっている。





(8)充放電の警報

鉛蓄電池のことを知っているユーザは少ないので、今後も電池をダメにしてしまうのは絶えないだろう。
充電を促したり、過充電をしないようにする回路を最初からつけてやるべきと思う。
PIC マイコンで電圧を AD 監視して簡易警報するぐらいなら¥200 ぐらいで出来そう。
しかし、費用をかけて後付けするぐらいなら、乾電池式に換装するほうがいい。




(9)12 V 鉛蓄電池の場合

@満充電したときの電圧は、2.28 V の 6 セル直列なので 13.68 V となる。

ACycle use:通常使用時の充電電圧は、14.4 V 〜 15.0 V の定電圧

BStandby use:トリクル充電時の電圧は、13.5 V 〜 13.8 V の定電圧




(10)参考資料

JIS C 8701 :1975 可搬鉛蓄電池
JIS C 8702-1 :2009 小型制御弁式鉛蓄電池
JIS D 5301 :2006 始動用鉛蓄電池( 自動車用 )
JIS D 5302 :2004 二輪自動車用鉛蓄電池




---- 2016.11.30 ----
2024.03.04(9)を追記